自然光に照明を馴染ませる方法|カラーメーターを使ったナチュラルライティング。

弊社では、普段からナチュラルライティングを主体とした撮影を多く行っています。
自然光を活かしながら、必要なところに照明を加えていく。
その際に重要なのは、単純に光量を補うことだけではありません。
色温度、色偏差など、その場にある光を把握し、照明をいかに馴染ませるか。
今回は、 弊社が撮影現場でどのように自然光と照明を馴染ませているのかを書いてみたいと思います。
まずは、カラーメーターで環境の光を測ること。
照明を加える前に、その場にある光の色温度や色偏差を数値で把握し、基準を知る。
基準がわからなければ、照明をどの方向に、どれだけ調整すればいいのか判断できません。
自然光に照明を馴染ませるためには、まず環境の光を知ることから始めます。
自然光や空間の色温度幅は意外と広い
普段、光の色温度を計測したことはありますか?
おそらく、実際に数値で計測した経験がある方は、それほど多くないのではないでしょうか。
ナチュラルライティングの現場では、5,600K固定のデイライトや、
色温度を変えられるバイカラー照明に限界を感じることがあります。
それは、自然光や空間の色温度幅は意外に広いということ。
カラーメーターで計測してみると、
日陰や窓から入る光が10,000Kを超えていることもあれば、
室内の照明が2,500K以下になっていることもあります。
こうした環境に照明を自然に馴染ませるためには、光量だけでなく、
照明本体がどこまで幅広い色温度に対応できるかも重要になってきます。
もちろん、フィルターを使って色温度を近づける方法もあります。
ただし、フィルターの選定や交換が必要になるため、
できることなら照明本体の設定だけで調整を完結させたい。
その方が、現場での作業もシンプルです。
バイカラー照明にも色温度の限界がある
「それなら、色温度を調整できるバイカラー照明を使えばいいのでは?」と思われるかもしれません。
確かに、バイカラー照明は色温度を調整できるため、
デイライト固定の照明よりも幅広い環境に対応できます。
ただし、色温度の幅 にも限界があるということです。
機種によりますが、バイカラーだと2,700K〜7,500Kまでしか調整できないものが多いです。
なので、バイカラーでも10,000Kを超えるような自然光や、
2.500K以下の空間などに色温度を合わせることはできません。
ナチュラルライティングでも、フルカラー照明が必要になる
そこで、ナチュラルライティングにおいてもフルカラー照明の重要性がわかってきます。
フルカラー照明だと1,800K〜20,000Kまで調整できるものが多いです。
下記の写真はAputure amaran 360C。


こうした照明であれば、
一般的なデイライトやバイカラー照明では対応しにくい自然光にも合わせやすくなります。
ただし、基準値以下(低すぎる、高すぎる)設定は光の演色性は下がる可能性はあります。
それでも、幅広い色温度に対応できることは、自然光を活かした撮影において大きなメリットになります。
色温度を合わせても、光が馴染まないことがある
ここでもうひとつ、重要なポイントがあります。
それは、グリーンとマゼンタの色偏差です。
色温度を合わせても、照明と自然光の色味が完全に一致するとは限りません。
例えば、蛍光灯などの光源はグリーンに偏りが生じることがあります。
また、窓の外にある木々の葉を通して入ってくる光などもグリーンに偏りが生じることがあります。
このような色味の違いは、色温度の調整だけでは解消できません。
そこで必要となるのがGM補正(プラスマイナスグリーン)です。
GMとは、Green(グリーン)とMagenta(マゼンタ)のこと。
この機能を使うことで、色温度とは別に、
グリーン方向、あるいはマゼンタ方向への色偏差を調整できます。

カラーメーターを使えば、グリーン・マゼンタ方向の偏りも数値で把握できます。
GM補正があれば、
蛍光灯や窓外の木々の影響によるグリーン被りに、照明をあえて馴染ませることもできます。
プロの現場では、光の再現性も重要になる
プロの現場では再現性が求められます。
スケジュールの関係で、昼のシーンの続きを夜に撮る、なんてこともあります。
あるいは、別日に同じ場所で追加撮影を行うことも。
そう言った時に、色温度や色偏差を数値で記録しておけば、
極力同じ状況を照明で再現できるようになります。
これも、プロの現場においてカラーメーターが重要な理由のひとつです。
SEKONIC C-800を使った、実際のセッティング
では、実際にどのようにカラーメーターを使っているのか。
僕が使用しているのは、SEKONICのカラーメーター「C-800」です。
自然光に照明を馴染ませる際には、C-800の「多灯比較」モードを使用しています。

このモードでは、A・B・C・Dの4つの光源について、それぞれの測定値を記録し、比較することができます。
僕の場合、まずは次のように使います。
1. Aに自然光を記録する
最初に、基準となる自然光を計測します。
色温度と色偏差を確認し、Aに記録します。
ここで大切なのは、照明を加える前の環境光を把握しておくことです。
2. Bに照明を記録する
次に、自然光に馴染ませたい照明を計測し、Bに記録します。
AとBの数値を比較することで、自然光と照明の間にどの程度の差があるのかを確認できます。
3. 照明の設定を調整する
比較結果を見ながら、照明の色温度とGM補正を調整していきます。
自然光の測定値を基準に、照明側の数値を近づけていくイメージです。
色温度だけでなく、色偏差も確認することで、より細かく光の色味を合わせることができます。
こうして数値を確認しながら感覚だけに頼らず、自然光に馴染む照明をつくっていきます。
この方法を身につければ、自然光に限らず、
空間にある照明に光を馴染ませることもできるようになります。
店舗やオフィス、ホテル、レストランなど、さまざまな光源が混在する環境でも、
まずはその場の光を数値で把握し、それを基準に照明を調整していく。
考え方は同じです。
カラーメーターを使いこなすことは、自然光を活かした撮影だけでなく、
あらゆる撮影環境で照明を自在に扱うための技術につながります。
カラーメーターは25万円ほどしますが、それ以上の価値を感じています。
僕にとっては現場になくてはならないものです。
まとめ
照明選びは光量だけでなく、色温度の調整幅、GM補正の有無も重要だということ。
自然光や空間の照明に馴染ませるためには、その場にある光の状態を正しく把握し、
それに合わせて照明を調整する必要があります。
そして、その基準を教えてくれるのがカラーメーターです。
光量を確保するだけが、照明ではありません。
光の色まで理解し、コントロールすること。
それが、自然な光をつくり、映像の表現力を高めることにつながります。
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