映像制作の現場でプロがカラーメーターを使う理由

「同じ5600Kのはずなのに、なぜか色が合わない」
照明を扱う現場で、一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
その正体を感覚ではなく数値で捉え、確実にコントロールするために、
プロの現場ではカラーメーターが使われています。
この記事では、僕が実際の現場でどのようにカラーメーターを使っているのか、
そしてどんな場面でその必要性を感じているのかについて解説していきます。
複数ある照明の色温度を合わせるため
現場では、メーカーや世代の異なる照明が同時に使われることが多くあります。
同じ5600Kと表記されている照明であっても、実際の色温度は必ずしも一致していません。
カラーメーターを使うことで、各照明の実測色温度を把握できます。
わずかな差異も数値として確認できるため、感覚に頼ることなく、照明同士の色温度を揃えることが可能です。
その結果、キーライト、フィルライト、バックライトの色の統一感が保たれ、
ポストプロダクションでの調整負荷も軽減されます。
色被り(±グリーン)の補正
色温度が一致していても、映像が緑寄り、またはマゼンタ寄りに感じられる場合があります。
その原因となるのがプラスマイナスグリーンのズレです。
カラーメーターは色温度と同時にプラスマイナスグリーンの値を測定できます。
そのため、どの程度グリーンまたはマゼンタ方向に補正すべきかを明確に把握できます。
これにより、フィルターの選択や照明側の補正設定を、迷いなく行うことができます。
僕が普段、現場で使用しているカラーメーターは SEKONIC C-800 です。
色温度やプラスマイナスグリーンを同時に測定できるだけでなく、
LEE社・ROSCO社のフィルターに対応し、
必要な補正をフィルターナンバーとして確認できる点が気に入っています。
特にバイカラーLED照明では、構造上、暖色と寒色のLEDを混ぜるので、中間色で緑が浮きやすいです。
色温度を調整した際に、実は同時に色被りが変化していることは、現場では見落とされがちです。
照明の色温度を周囲の環境光に合わせるため
ロケーション撮影では、窓からの自然光や既存の室内照明など、コントロールできない光が必ず存在します。
カラーメーターを使用することで、まず環境光の色を正確に数値で把握できます。
その上で、撮影用照明を環境光に完璧にマッチさせることができ、インタビュー撮影や、
既存光を補うモチベートライティングにおいても、違和感のない自然な画づくりが可能になります。
正確なホワイトバランスを得るため
カメラのオートホワイトバランスは便利ですが、混色環境では、必ずしも最適な結果を得られるとは限りません。
カラーメータで環境光を測定し、その数値を基にホワイトバランスを設定すれば、正確な色再現ができ、ポストプロダクションでの色調整を減らせます。
実際に計測してみると、日陰の環境光が10,000Kを超えているといったケースもあり、
目視の感覚と数値が大きく異なることが分かります。
まとめ
少し専門的な話になりましたが、やっていることはとてもシンプルです。
編集段階で必ず行う色補正を、撮影現場の時点で先に整えているということです。
その結果、スキントーンをはじめとする色再現が安定し、ポストプロダクションでの無理な調整を減らすことができます。
カラーメーターは、光の状態を数値で把握し、現場での判断を確かなものにするためのツールです。
色温度やプラスマイナスグリーンを正確に測定することで、照明の統一や色被り補正、環境光への対応、正確なホワイトバランス設定が可能になります。
感覚に頼らず、意図した光を再現するために、プロの現場ではカラーメーターが欠かせません。

最後に、持っておくと便利な色見本帳を紹介します。
LEE社とROSCO社、この2つですね。
僕は普段LEE社のフィルターを使うことが多いので、カラーメーターの設定もLEE基準にしています。
MEAL RECORDSが大切にしていること
MEALRECORDSでは、撮影現場での光と色の設計を、映像クオリティの基盤と考えています。
撮影時点で光を正確に把握し、意図した状態に整えておくことで、
スキントーンや全体の色再現が安定し、
ポストプロダクションにおいても無理のない仕上げが可能になります。
カラーメーターは、そうした判断を感覚ではなく、
客観的な数値として裏付けるための重要なツールです。
一つ一つの工程を丁寧に積み重ねること。
それが、MEALRECORDSが一貫して大切にしている映像制作の姿勢です。
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