プロダクトPVの舞台裏|Behind the Scenes

「光の動き」をつくる。プロダクトPV撮影の舞台裏
先日、某企業のプロダクトPV撮影を行いました。
今回は、準備から当日の現場まで、制作の裏側を書いてみたいと思います。
今回は「光の動き」がテーマ。
製品が「台車」ということもあり、あらゆる反射を丁寧に捉えていく必要がありました。
カメラワークだけでなく、光自体を動かす必要があったのと、
世界観の異なる照明セッティングをワンカット内で切り替える演出あったので、
照明担当に加えて、ライティングオペレーターも参加。
こうした演出を実現するために、どんな機材が必要なのかを検討し、
打ち合わせを重ねながら準備を進めていきました
前日の準備からスタート
ではまずは前日の準備から。
今回カメラは、ブラックマジックデザインさんの協賛で、
「URSA Cine 17K 65」
「PYXIS 12K」
の2台を使用しました。
まずは目黒のオフィスにカメラをピックアップ。


その後は特機などをピックアップし、
今回のProductionであるHighland Tokyoのスタジオへ。





必要な機材をすべて積み込み、翌日の撮影に備えます。
そして遅くまで続いたカメラテスト。
今回は所有しているカメラではないため、
レンズの特性やカメラの操作性、各種設定などを一つひとつ確認していきます。
わずかしか寝れませんでしたが、
深夜のホテルから見えた隅田川がとても綺麗でした。
そして撮影当日
早朝から月島スタジオへ。
まずは大量の機材搬入からスタート。

今回は、同じ敷地内にある別スタジオ「スタジオギア」でスチールチームが撮影。
そして月島スタジオでは映像チームが撮影。
同じ敷地内でスチールと映像を同時進行で進める、かなりタイトなスケジュールです。



敷地内にはGIN-ICHIも。

撮影部と照明部、それぞれの準備
月島スタジオでは、撮影部が入る前から照明部がセッティングを始めていました。


今回、モニターは
・照明部用
・クライアント用
・ディレクター用
の3台を用意。


ドリー・レールもセッティングを進めます。


そしてライティングオペレーターによる照明の切り替えも入念にテスト。

・いつ動かすのか。
・どのくらいの速度で切り替えるのか。
・カメラの動きとどう同期させるか。
こうした細かな部分を念入りに確認していきます。
カメラとレンズをどう組み合わせるか
今回、URSA Cine 17K 65のレンズが35mm一本だったため、
PYXIS 12Kには複数のレンズを用意しました。
ズームレンズ
「SIRUI Jupiter 28-85mm Macro Cine」

単焦点
DULENS APO MiniPrime 43mm T2.4
DULENS APO MiniPrime 21mm T2.6
を選択。


DULENSはシャープすぎない、少しオールド感のある描写が魅力。
開放ではレインボーフレアも特徴的です。
ただ、今回はそのフレアが意図しない場面で出てしまうことも。

絞れば抑えられるのですが、どうしても開放で使いたいシーンも多く、
そこで今回は、ブラックラップでフレアをコントロールしました。

こういうその場でみんなで考えて対処すること、
これも現場で楽しい時間でもあります。
現場サポートのある安心感
今回は、ブラックマジックデザインから
石井さん、中村さん、2名が立ち会ってくださっていたので、
カメラのテクニカルな疑問も、その場で解決できたのも安心感がありました。

そして、14時ごろに昼食
選べる幸せ!笑


こういうところも長時間の撮影では大事ですね。
そして午後の撮影へ。
美術、照明、撮影。全員でつくる、一つひとつのカット。
午後からは美術担当も本格的に準備。


台車に水をかけたり、ほこりを払ったり、
息を合わせて、ここはハイスピード(HS)で撮影していきます。
台車に水をかけたり、ほこりを払ったり。
スタッフ同士で息を合わせながら、ここはハイスピード(HS)で撮影していきます。
PYXIS 12KのHS撮影では、12Kから8K(2.4:1)に切り替えることで、
24fpsをベースに最大224fpsでの撮影が可能になります。


水の動きやほこりの舞い方を、
スローモーションならではの表現で切り取っていきます。





・製品の状態を整える人。
・カメラを動かす人。
・光を動かす人。
・モニターを確認する人。
それぞれが自分の役割を担いながら、一つのカットを完成させていきます。
プロダクト撮影では、チーム全体の連携だけでなく、
メンバーが自然体でいられる、柔らかな空気感も大切ですね。
ウルトラクレーンの魅力
今回、初めて使用したウルトラクレーン。
通常のジブは車輪ごと押して前後するしかないのですが、
今回使用したウルトラクレーンは、クレーンの機構によって前後方向への移動が可能。
もう少し前に出たい、下がりたいの微調整が簡単にでき、これがかなり好印象でした。
実際に使ってみることで、「この動きならこういう表現ができる」という新しい発見もありました。


一度載せてしまえば、ローアングルもハイアングルもセッティング変更は簡単。
三脚を使うよりも楽に、さまざまなアングルから撮影できます。
やっぱり、ジブはいいですね。
光を数字で確認する
セッティングチェンジの際は、SEKONICさんの露出計、カラーメーターを使い、
シーンごとの背景と被写体のコントラスト比率や、色温度を丁寧に合わせていきました。
照明部から「白堀の背景飛んでますか?」
白ホリに当たった光の反射を露出計で測り確認。「4倍なので大丈夫ですね」
そんなやり取りをしながら、細かな調整を重ねていきます。
数字で確認できる部分と、最終的な画としての判断。
その両方を行き来しながら、光をつくっていきます。
ラストカットはURSA Cine 17K 65で
そしてラストカットは「URSA Cine 17K 65」と
「G.L. Optics Mamiya Sekor 645 35mm T3.5」の組み合わせ。


やはり、ラージフォーマットならではボケ感、被写体の立体感がとても印象的でした。
さらに、ダイナミックレンジと色のグラデーションにも明らかに余裕が感じられました。


製品の質感や細かな反射を捉える今回の撮影では、
このカメラのポテンシャルを感じられるカットになったと思います。
17K素材を、どう編集するのか
もちろん、ここで新たな課題も。
プロキシを作成して編集できるとはいえ、17K素材を実際の編集工程でどう扱っていくのか。
撮影だけではなく、その後のデータ管理や編集環境まで含めて考える必要があります。
ただ、こうした最新の機材や高スペックなカメラを実際の現場に投入し、
表現の可能性を探っていくことも、僕たちにとって大切な取り組みのひとつです。
機材は、スペック表を見るだけでは分からないことがたくさんあります。
実際に触って、撮って、現場で使ってみる。
その経験値が、次の撮影での選択肢を増やしてくれる。
今回も、非常に学びの多い撮影となりました。
最後に
今回の撮影では、カメラ、照明、美術、そしてライティングオペレーター。
それぞれの専門性を持ったメンバーが連携し、一つのプロダクトPVをつくり上げました。
特に今回は「光を動かす」というテーマがあったことで、
照明と撮影部の連携がいつも以上に重要な撮影でした。
実際に現場に入ってみると、予定通りにいかないこともあります。
レンズのフレアだったり、反射だったり、製品についたわずかな汚れだったり。
その都度、スタッフみんなで画を確認し、考え、調整していく。
そうやって一つひとつのカットを仕上げていくことが、撮影の面白さだと思います。
これからも、機材や技術に振り回されるのではなく、
「何を表現したいのか。そのために何が必要なのか」を考えながら、
一つひとつの撮影に向き合っていきたいと思います。
今回ご一緒した皆さん、本当にお疲れ様でした。
そして、今回お声がけいただいた、
Producer / DirectorのHighland 酒井さん、ありがとうございました。
Production : Highland Tokyo
Producer/Director : 酒井洋一
Production Manager : 松岡裕未子
Director of Photography : 小泉勝幸
Still Photographer : 根津佐和子
Lighting : 水谷光孝 & Crew
Art : 猪瀬まな美 & Crew
Hair&Make-up : 島尚穂
Stylist : 小髙愛菜

